NA・NA・MI
神谷くんが教室に戻って来ると、教室は一瞬にして静かになり、アタシと神谷くんに注目が集まる。
アタシがぶちギレるのを待ってるんだ。
アタシはそんなバカな事はしないよ。
教室の異様な雰囲気に、神谷くんは気持ち悪そうな顔をして、アタシに聞いた。
「何かあった?」
「…さぁ?」
アタシはすっとぼけて笑顔を作る。
「今日さ、一緒に帰る?」
「今日、早くバイトに行かないといけないから」
「…うん。分かった」
アタシは嘘をついた。
神谷くんと二人になったら、アタシは崖から突き落とされるだろう。
その下には絶望が待っているんだ…。