でも、好きなんです。
翌日、出社すると、窪田さんが風邪を引いていた。

風邪引きでも、洒落たストライプのワイシャツには、皺ひとつない。

うーん、隙がないなあ。

って、そんなところ観察してる場合じゃない。


「だ、大丈夫ですか?」


「正直言って、ちょっとしんどい・・・。」


けほけほ、と窪田さんが咳をする。


「大丈夫ですか?休んだほうがいいんじゃないですか?」


美香さんが、心配そうに言う。


「でもな・・・、今日締め切りの仕事、あるんだよなあ。」

「私、手伝えることあったら、やりますよ?」

遠慮がちに言う。

今の窪田さんの仕事のうちのいくらかは、去年まで私がしていた仕事だから、手伝えないことはない。


「うん、ありがと。でも、できるだけ自分でやってみるよ。どうしても無理だったら、お願いしようかな。」


窪田さんが、つらそうな表情を隠すように、弱弱しい笑顔で言う。


思わず、きゅんとしてしまう。普段ふざけてばかりいるくせに、そんな表情、ずるい。


ほんと、母性本能くすぐるのがうますぎる。


その日は一日中、窪田さんはしんどそうにしていて、一緒に仕事をしていても、どこかで気になって仕方がなかった。

昼休み、早めに席に戻ると、窪田さんがひとりで席に座っていたので、声をかけた。
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