でも、好きなんです。
約束の土曜日は、すぐにやってきた。

はじめて見る私服の窪田さん。

紺のパーカに、タイトめのカーキのパンツ。

パーカはデザインが凝っていて、いかにも高そう。

普段のスーツもお洒落だけど、私服もやっぱりお洒落。

きばりすぎてなくて、適度なゆるさが、窪田さんのイメージに、よく合ってる。


「・・・うわ、ちょっと意外。」

「え?」

「いや、正直、私服の河本さん、もうちょいダサめを想像してた。」

「・・・想像を裏切ってすみませんね。」

「・・・いや、どうしよ。ヤバい、いいよ。」

「ま、また窪田さんは、簡単にそういうこと言う!」

正直少し嬉しくて、でもそれを悟られるのが恥ずかしくて、私は怒ったふりをした。

「とりあえず、お茶でもする?」

「はい、どうぞ。」

窪田さんが、そう言って、カフェモカを手渡してくれる。

もー、お願いだから、いちいち可愛く笑わないでよ。なんていうか、デートそのものになっちゃうじゃん。

てか、客観的に見たら、デートそのものか・・・。いやいや、そんなことないって、私の思いこみ!

こんなこと思ってたら、勘違いって言われるよ・・・。

メールではシリアスめだった雰囲気が、あった感じでは、完全にいつもの軽い窪田さん。

・・・なんか、騙された??

ああ、そうだ、きっとあれだ、窪田さんは遊び慣れてそうだし、たまたま遊ぶ相手がいなくて私を誘っただけ。

たまには私みたいな地味なタイプも面白いかもって思っただけだよ、きっと。

頭の中でひとりぐるぐると考える。あー悪い癖かもな、ほんと、可愛くない。
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