でも、好きなんです。
・・・ああ、いえ、とか言って会話を終了してしまったけれど、今のは、美香さんが広瀬君に気がある、ということだろうか?

少し気になったけど、今更、今のってどういう意味ですか?とか聞き返すわけにもいかない。さすがに、その程度に空気は読める。
 

 しかし、私のことを『まなちゃん』と呼ぶのはあとにも先にも美香さんだけなんだけど、どうにも慣れない。なんか、私がそう呼ばれているのを見ている周りの人から笑われていそうな気がして。・・・て、これこそ、自意識過剰だね。

「河本さん、ちょっといいかな?」

「は、はいっ。」

 百メートル先にいたって聞き分けられるその声に、慌てて返事をする。山村課長が、一つ席を挟んだ自席から、私を呼んでいた。弾丸のような素早さで、移動する。現金なものだ。
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