でも、好きなんです。
落ち着かない車内を過ごして、仙台駅に到着した。
「私、仙台って、初めて来ましたけど、結構都会ですね。」
「ああ、河本さんは、初めてなんだ。
僕は何度か来たことがあるけど、来るたびに発展していくね、この街は。」
駅を出ると、外は強い風と雨で人もまばらだった。
「・・・なんか、大丈夫でしょうか・・・?」
不安になって、思わず呟いてしまう。
「大丈夫、大丈夫。
とにかく、まずは打ち合わせをなんとか終わらせよう。
せっかくここまで準備してきたんだからね。」
そう言って、課長がいつもの笑顔を浮かべる。
「はい!」
取引先での打ち合わせは、何事もなく無事に終了した。
英語での通訳は久しぶりだったから、随分緊張したけれど、資料の内容は事前に英訳済みだったし、相手先にも英語が堪能なアシスタントの人がいたので、トラブルなく終えることが出来た。
「なんとか終わったね。
河本さん、流石だった。
河本さんが来てくれて、本当に良かったよ。」
打ち合わせを終えて、下りのエレベーターを待ちながら、課長が言った。
「そ、そんな、私は何も・・・。
課長の資料、データも丁寧で、ほんとに、すごいなって思いました。
・・・課長は、今まで私が出会ったどんな人よりも仕事が出来ます。」
「・・・そこまで言われると、さすがに照れるな。
・・・ありがとう。
最近、自信喪失気味だからかな、心に染みるよ、なんて。」
課長は冗談交じりにそう言うと、腕時計を見た。
「美味しいものでも食べて帰ろう、と言いたいところだけど・・・。
この台風だからね・・・、とりあえず、駅に急ごうか。」
「はい。」
そう返事をしたものの、少し残念な気持ちだった。
思いがけない課長と二人きりの出張。
初めはどうなることかと思ったけれど、ドキドキしすぎて、でも嬉しくて、今日が永遠に終わらなければいいのに、とさえ思い始めてしまっていた。
そんな私のよこしまな気持ちを、神様は見過ごさなかったのかな?
それで、私を試す一日を用意したのかもしれない・・・。
私が、そんな風に思ったのは、取引先のビルを出てから、三十分後の仙台駅でだった。
「新幹線・・・動いていないみたいだね・・・。」
隣で、課長がそう告げている。
仙台駅は、電車を待つ人でごったがえしている。
「・・・今日はこれから台風がさらに強まるようだし・・・。
駅員に確認したら、今日は終日見合わせの可能性が高いみたいだ。」
・・・そ、それって・・・。
「今日は、仙台に泊まるしかなさそうだね・・・。」
・・・う、嘘でしょ?!
「私、仙台って、初めて来ましたけど、結構都会ですね。」
「ああ、河本さんは、初めてなんだ。
僕は何度か来たことがあるけど、来るたびに発展していくね、この街は。」
駅を出ると、外は強い風と雨で人もまばらだった。
「・・・なんか、大丈夫でしょうか・・・?」
不安になって、思わず呟いてしまう。
「大丈夫、大丈夫。
とにかく、まずは打ち合わせをなんとか終わらせよう。
せっかくここまで準備してきたんだからね。」
そう言って、課長がいつもの笑顔を浮かべる。
「はい!」
取引先での打ち合わせは、何事もなく無事に終了した。
英語での通訳は久しぶりだったから、随分緊張したけれど、資料の内容は事前に英訳済みだったし、相手先にも英語が堪能なアシスタントの人がいたので、トラブルなく終えることが出来た。
「なんとか終わったね。
河本さん、流石だった。
河本さんが来てくれて、本当に良かったよ。」
打ち合わせを終えて、下りのエレベーターを待ちながら、課長が言った。
「そ、そんな、私は何も・・・。
課長の資料、データも丁寧で、ほんとに、すごいなって思いました。
・・・課長は、今まで私が出会ったどんな人よりも仕事が出来ます。」
「・・・そこまで言われると、さすがに照れるな。
・・・ありがとう。
最近、自信喪失気味だからかな、心に染みるよ、なんて。」
課長は冗談交じりにそう言うと、腕時計を見た。
「美味しいものでも食べて帰ろう、と言いたいところだけど・・・。
この台風だからね・・・、とりあえず、駅に急ごうか。」
「はい。」
そう返事をしたものの、少し残念な気持ちだった。
思いがけない課長と二人きりの出張。
初めはどうなることかと思ったけれど、ドキドキしすぎて、でも嬉しくて、今日が永遠に終わらなければいいのに、とさえ思い始めてしまっていた。
そんな私のよこしまな気持ちを、神様は見過ごさなかったのかな?
それで、私を試す一日を用意したのかもしれない・・・。
私が、そんな風に思ったのは、取引先のビルを出てから、三十分後の仙台駅でだった。
「新幹線・・・動いていないみたいだね・・・。」
隣で、課長がそう告げている。
仙台駅は、電車を待つ人でごったがえしている。
「・・・今日はこれから台風がさらに強まるようだし・・・。
駅員に確認したら、今日は終日見合わせの可能性が高いみたいだ。」
・・・そ、それって・・・。
「今日は、仙台に泊まるしかなさそうだね・・・。」
・・・う、嘘でしょ?!