でも、好きなんです。

緊張のオシャレ美容室

 そうして週末を迎えた。近所の美容室なら、スッピンにジーパンで行ったらいいけど(私だけ?)都会の美容室はそうもいかない。
 
 土曜日だというのに早起きして、着ていく服を選ぶこと一時間。
 
 平日は、ニットにひざ丈のスカートかパンツでザ・無難な格好ばかりしているから、休日のお洒落な服を選ぶとき、チョイスに困る。
 
 悩みに悩んだ末、ネイビーのシャツワンピースにする。この間、コンパ向けに買った服だ。・・・そのコンパでの収穫はもちろん皆無だったけれど。

(・・・これなら、大丈夫だよね?ワンピースなら、組み合わせがおかしいってこともないだろうし、最近買った服だもんね?)

 そう言い聞かせながら、家を出る。急がないと、電車に乗り遅れそうだ。

・・・・・

「アウトー!」

 待ち合わせのJR改札前で、早速茉莉に駄目出しされる。

「あんたね、高校生じゃないんだから、そのワンピースはないでしょう。」

茉莉が、憐れむような視線を向ける。笑われるより悲しい。

「で、でも、ちゃんとファッションビルのブランドのワンピだもん。」

 必死に反論してみる。

「・・・あのね、そりゃ、モデルさんが、お洒落なヘアスタイルや小物、靴と合わせて着たら、清楚系でキマるけどさ、あんたのおかっぱに近い黒髪に、ぺったんこの靴に合わせたら、ダサい制服と大差ないよ。」

「・・・だから、そのおかっぱを今日なんとかするんじゃない。」

「まあそうなんだけど・・・。うーん、パーフェクトなレディへの道のりは、思ったよりも遠そうだ。(ごにょごにょ)」

「ん?なにか言った?」

「ううん、なんでもない。よっし、わかった。行こっ。」
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