S系課長のアメとムチ~恋はお叱りのあとで~
そこまで考えて、乾いた笑いが一つ漏れた。

仕事をいくら頑張ったところで、私は、所詮可愛げのない女で。

彼女のような若さも可愛さも持ち合わせていないし。
今更、彼女のようになりたいとも思わない。


でも、こんな夜には。
仕事で失敗した日の夜には。
本当に私はこのままでいいのか、どうしようもなく不安になるのだ。
素直に泣いて誰かに縋れたら、楽になるのかも知れないと思う。

泣かないことを褒めてくれた彼は、もう居ない。

そう気が付いてしまった私は、今にも崩れ落ちそうで。



気が付いたら、私の瞳には涙が溜まり始めていた。
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