S系課長のアメとムチ~恋はお叱りのあとで~
勢いよく言い放った私に、彼の表情は険しくなる。
「おい、いい加減に話せよ。悩んだままで、今日みたいに凡ミスしたりしたら困るだろう。」
「それは…」
さすがに今日のミスを持ち出されると言葉に詰まる。まだ乾きたての傷は生々しいほどに痛んで、瘡蓋が張るまで時間が掛かるのだ。
だが、この後彼が発した言葉は、その傷に塩を擦り込むようなものだった。
「なあ、松岡。お前にとって、俺ってその程度の存在?」
彼の言っている意味が分からずに黙り込むと、彼は投げやりな表情で続けた。
「もう、いいよ。どんなに説教してもめげずに頑張った松岡のこと、俺はかなり信頼してる。でも、お前は俺のことそうでもないんだな。ちょっと、がっかりしたわ。」
一方的に言い切って、彼は勝手に少し傷付いた表情をした。
ぶちん。
それを見た瞬間、私の中で何かが切れた。
何を言っているんだ、この男は。
先に裏切ったのは、そっちのくせに!!