S系課長のアメとムチ~恋はお叱りのあとで~
「私だって、信頼してましたよ。つい、何日か前までは。」
気が付けば、感情に任せて口を開いていた。
その一言を皮切りに、押し止めていた感情やら涙やらが一気に漏れ出した。
最後に瞳に映ったのは佐藤の少し困惑した顔で、それ以降は溢れる涙で何も見えなくなった。
「私の方が、がっかりですよ。私にはあんなに毎日ガミガミ怒ってたのに、若くて可愛い女子には甘いんですね。」
彼の前で、こんなただの八つ当たりみたいな幼稚な発言をするつもりなんて、微塵もなかった。
でも、溢れ出る言葉は止められない。
「あの日、泣かなかった私を褒めてくれたから、今まで泣かずに頑張ってきたのに、どうしてくれるんですか。ますます可愛げがない女になって、恋愛もうまくいかなくて、仕事だけは…と思ってたのに…仕事もミスして、もう、どうしたらいいんですか。」
自分でも何を言ってるのか分からなくて、最後は絞り出すように声を出した。
「わたひだって…ほんとはなきたいこと、やまのよおにあるんですよぉ…」