Ｓ系課長のアメとムチ～恋はお叱りのあとで～

エピローグ

「松岡、詰めが甘すぎる。こんなんじゃ、他社（よそ）に持ってかれるぞ。」

彼の厳しい指示が飛んでくるオフィスで、私は今日もてきぱきと仕事を進めていく。

あの夜から、恋人同士になった私たちだが、相変わらず仕事中の彼は厳しい。
でも、それは、愛のムチだということを私が一番知っている。
彼の厳しさは愛情の裏返しだ。

ずっと「絶対に泣かないこと」を支えにしてきた私は、あの日を境に、「いざとなったら泣いても良いこと」を支えにするようになった。
それは、私にとって良い変化で。
ほんの少し心の余裕ができて、今まで以上に仕事にしっかり向き合うことが出来るようになったと思う。




人間、誰しも苦しいことばかりじゃ、頑張れない。
それが、たとえ愛のムチだとしても。
たまには、極上のアメがないとね。

松岡いずみ、今日も頑張ります。


【おしまい】


※この後、佐藤目線のショートストーリーを追加予定です