S系課長のアメとムチ~恋はお叱りのあとで~

四年ぶりに見た彼女の仕事振りはなかなかのもので、思った通りの成長を遂げていた。
健気に頑張る彼女を間近に見て、素直に愛おしいという気持ちが生まれる。
俺はやはり彼女に恋をしているのだ。

しばらく観察してみたが、残業や休日出勤も躊躇なく引き受けているようで、男の影はない。
そのことに喜びながらも、俺はすぐに行動を起こすつもりはなかった。
四年も密かに温めていた恋だ。
まずは、上司と部下としての関係をしっかりと築いてから、タイミングを見計らって、慎重に彼女を口説こうと思っていた。


しかし。
思いがけず、その機会はすぐに訪れる。

珍しく仕事でミスした彼女に久しぶりのお説教をした日の夜。
歓迎会にも顔を出さなかった彼女を心配して会社に戻った俺は、明らかに挙動不審だった彼女を、昔のように壁際まで追いつめた。
そして、後輩へのあからさまな嫉妬を白状して、弱音を漏らした彼女が可愛すぎて、気づいたときには抱きしめていた。

思ったより早く手にしたぬくもりは、想像していたより何百倍も心地よく、手放せそうにない。



まして、こんなよく冷えた朝にはー


「…いずみ?どこ行くんだ?」

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