S系課長のアメとムチ~恋はお叱りのあとで~

何より必要なのは


「はい、どうぞ。」

差し出されたカップの中には、少し大きめの野菜がごろごろと入っている。

「うまそう。いただきます。」

スプーンですくって口へ運べば、野菜の甘みとベーコンの塩気がマッチしていて、なんというか素朴にうまい。

「白いの、大根?」

その中でも特においしいと感じたものについて尋ねると、彼女は得意げに答えた。

「蕪ですよ。大根より甘くないですか?」
「そう言われてみれば。」

ゆったりと会話しながらの食事は、何日ぶりなのか。
何気ないやりとりに、胃袋だけでなく心が満たされる。

日曜の夜だというのに、俺は家で山積みの仕事を片付けていた。
ただでさえ、年末の慌ただしい最中に、突然発生したトラブルが原因で、このところほとんど休みは取れていない。

さすがに疲れは溜まっているが、休みなく働き続けること自体には、さほど問題はなく。
毎日数時間は睡眠も取れているし、気も張っているからいつもより体調が良いくらいだ。

というわけで、本来ならば今日も会社で深夜まで過ごすところだが、そうもいかない事情もある。
男の一人暮らしゆえ、洗濯の一つもしなければ、明日から着るシャツがないのだ。
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