S系課長のアメとムチ~恋はお叱りのあとで~
こうなれば、最終手段。
私は「すみません!」と声を上げながらドアの方へと逃げようとした。
その瞬間。
ダンッ。
私の顔の前に彼の腕が伸びる。
私の退路を断つように、背後の壁に彼が腕を突き立てた。
「きゃっ!」
柄でもなくかわいい声を出して、おそるおそる彼の方を見る。
「反対側も塞いどくか。」
そう言いながら、反対側の手も私の顔の横に突き立てる。
壁と彼の両腕に挟まれて逃げ場を無くした私は、覚悟を決めた。