S系課長のアメとムチ~恋はお叱りのあとで~
(おまけのおまけ)
「ママ、きれい!!なぎも、はやくおよめさんになりたい!」
「そうね、私もなぎさのおよめさんになるところが早く見たいわ。」
「…いや、まだそんな話は早いだろう。まずは、ちゃんと勉強して、社会にでてからだな…」
家に帰ってきてから、約束通り私たちの結婚式の写真を広げる。
なぎさは、ママのドレス姿に興奮気味だ。
そして、早くもなぎさがお嫁に行ってしまう日を想像したのか、英介さんは、慌てて夢のないことを言い出した。
その姿に内心笑いながら、私は助け船を出す。
「なぎさ、およめさんは一人じゃなれないのよ。おむこさんになる男の人がいっしょじゃないと。今日も、かっこいいおむこさんがいたでしょう?」
「おむこさん…」
「そう、なぎさも、いつか王子様みたいなかっこいいおむこさんに出会えるといいわね。」
私が宥めるように言って聞かすと、英介さんはこっそりと胸をなで下ろした。
しかし、子どもというものは親の想像の斜め右を行くものだ。
なぎさは、目をぱっと輝かせて、叫ぶ。
「おうじさま!!こたろうくん!!なぎのおうじさまはこたろうくんだよ!」
その発言に、英介さんは固まった。
本田琥太郎君は、なぎさの保育園のおともだちだ。
どうやら、この前、一緒にお姫様ごっこで遊んだらしい。
私はそんな娘の姿を微笑ましく見つめていたが、もう一人の人物はそうではなかったらしい。
「いずみ、どういうことだ?まさかっ、なぎさにはもうすでに彼氏がいるのか!?」
眉間に皺を寄せている姿は、仕事で何かトラブルが発生した時さながらだ。
「早すぎる!まだ二歳児だぞ?相手の男は…」
真剣に、私に詰め寄る英介さんを見て、思わず先が思いやられたのだった。
(おしまい)