【短編】かき氷
 父親が問い掛けてきたその声を聞いて、私の中にあった妄想に近い憶測がほぼ確信へと変わった。



「水元です」



 私はキャップを自分の意思で、更に、深くかぶった。



 自分の考えがホントに当たっていたら、自分が恥ずかしいからだ。





「もしかして、水元麻美さん?」



「そう……です」



 私はこの場所からすぐにでも逃げ出したくなった。



 男の子を迎えに来た夫婦は、私の子を養子として引きとった夫婦だったのだ。



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