【短編】かき氷
「七年前、電話をくれたの覚えてるかな?」
「は……い」
私は父親の顔も見ず、答えた。
――よく覚えている。
移動販売を始めた十九の時の七夕の日に私は願いをこめた。
自分の稼ぎが良くなった時、私はあの子を取り戻したい。
そう願いをこめた。
そして次の年、ちょうど七年前の今日、七月七日だ。
仕事も軌道にのり、自分と子供一人ぐらいは養っていけるぐらいになっていた私は、電話をした。
電話に出たのは、今、目の前にいる父親だった。
私は自分が子供一人を育てられる稼ぎがあることを話し、健太を返してほしいと言ったのだ。
もちろんそんな話しは、受け入れてもらえなかった。
「あの子は、もううちの子なんです」
ただ一言そう言われた私は、黙って電話をきった。
「は……い」
私は父親の顔も見ず、答えた。
――よく覚えている。
移動販売を始めた十九の時の七夕の日に私は願いをこめた。
自分の稼ぎが良くなった時、私はあの子を取り戻したい。
そう願いをこめた。
そして次の年、ちょうど七年前の今日、七月七日だ。
仕事も軌道にのり、自分と子供一人ぐらいは養っていけるぐらいになっていた私は、電話をした。
電話に出たのは、今、目の前にいる父親だった。
私は自分が子供一人を育てられる稼ぎがあることを話し、健太を返してほしいと言ったのだ。
もちろんそんな話しは、受け入れてもらえなかった。
「あの子は、もううちの子なんです」
ただ一言そう言われた私は、黙って電話をきった。