魔法使いの三枝くん。
(な、なんて優しい………っ)
……って感動してる場合じゃない。
「ありがとう……」
私たちは教室の中心を抜けて
廊下に出た。
………人は皆、教室にいるようで廊下にはいない。
シーンと静まり返っていた。
『どうした?』
真っ直ぐに三枝くんは私を見つめる。
手も震えて、声も震えそうになる。
でもこの前のお礼くらい、言いたいんだ。
「この前、荷物持ってたとき
心配して魔法かけてくれてありがとう。
あと、私のコンプレックス……
直してくれてありがとう。
すごく、嬉しかったの……」
私がそう静かに言葉を終えると、
三枝くんは少し苦笑いをした。