さくら駆ける夏
第3章 東京編
八重桜さんと会う
翌朝、光定さんたち清涼院家のみんなに挨拶をして、涼君と私は出発した。
最寄り駅から新幹線に乗る私たち。
東京駅まで二時間半ほどかかったけど、車内でおしゃべりをしていたから、あっという間だった。
「さぁ、お迎えを探そう!」
新幹線から降りると、涼君は元気いっぱいに言った。
私の服装は、目印として八重桜さんに事前に伝えてある。
酒井さんという名前の秘書さんが、私たちを迎えにきてくれているはずだ。
すると、指定された出口に到着してまもなく、黒いスーツを着た、かなり年配の男の人が、私たちの方へ近づいてきた。
ポケットから名刺らしきものを取り出しながら。
柔和で優しそうな表情の人だ。
「初めまして。大変失礼ですが、花ヶ池さくら様と清涼院涼様でいらっしゃいますか?」
私たちが首肯し、簡単な挨拶を返すと、酒井さんは私たちに名刺を手渡しながら、にこやかに言った。
「申し遅れましたが、私は八重桜会長の秘書を務めております、酒井と申します。さぁ、早速会長のところへ向かいましょう。首を長くして、お待ちですよ」
そして、私たちを車へと案内してくれる酒井さん。
柔和な笑顔はそのままに。
促されるまま車に乗り込んだ私たち。
どうやら、運転は酒井さん自身がするみたいだ。
秘書さんっていう話だけど、業務が多くて大変そうだなぁ。
「それでは出発いたします」
酒井さんはそう言って、車を発進させた。
私たちを乗せた車は、軽い渋滞に巻き込まれながらも、八重桜さんが働いているというビルの前まで、無事に到着した。
酒井さんは、素早く車外へ降りて、私たちの隣のドアを開けてくれる。
涼君と私は、お礼を言いながら降りた。
「いよいよだね……」
私の声は、緊張のために震えていたかもしれない。
「メールの文面から察すると、礼儀正しく真面目な人そうだから、きっと心配いらないよ」
優しく言ってくれる涼君。
酒井さんに案内してもらい、私たちはエントランスへと足を踏み入れた。
私たちの乗ったエレベーターが十一階に到着する。
酒井さんが身振りを交えつつ、「お先にどうぞ」と言ってくれた。
私と涼君が降りたのを見届けてから、自らも降りる酒井さん。
「会長は、あちらの応接室にてお待ちです」
酒井さんが指し示す方向を見ると、大きくて分厚そうなドアが見えた。
上のプレートに「応接室」と書かれている。
ドア前まで案内してくれた酒井さんが、三度ノックをする。
「酒井です。花ヶ池様と清涼院様をお連れいたしました」
酒井さんがそう言うと、中から「入りなさい」という低い声がした。
「失礼いたします」
酒井さんはそう言ってから部屋に入ると、ドアを開けたまま、「さぁどうぞ」と私たちを促してくれたので、私たちも続いて入室した。
最寄り駅から新幹線に乗る私たち。
東京駅まで二時間半ほどかかったけど、車内でおしゃべりをしていたから、あっという間だった。
「さぁ、お迎えを探そう!」
新幹線から降りると、涼君は元気いっぱいに言った。
私の服装は、目印として八重桜さんに事前に伝えてある。
酒井さんという名前の秘書さんが、私たちを迎えにきてくれているはずだ。
すると、指定された出口に到着してまもなく、黒いスーツを着た、かなり年配の男の人が、私たちの方へ近づいてきた。
ポケットから名刺らしきものを取り出しながら。
柔和で優しそうな表情の人だ。
「初めまして。大変失礼ですが、花ヶ池さくら様と清涼院涼様でいらっしゃいますか?」
私たちが首肯し、簡単な挨拶を返すと、酒井さんは私たちに名刺を手渡しながら、にこやかに言った。
「申し遅れましたが、私は八重桜会長の秘書を務めております、酒井と申します。さぁ、早速会長のところへ向かいましょう。首を長くして、お待ちですよ」
そして、私たちを車へと案内してくれる酒井さん。
柔和な笑顔はそのままに。
促されるまま車に乗り込んだ私たち。
どうやら、運転は酒井さん自身がするみたいだ。
秘書さんっていう話だけど、業務が多くて大変そうだなぁ。
「それでは出発いたします」
酒井さんはそう言って、車を発進させた。
私たちを乗せた車は、軽い渋滞に巻き込まれながらも、八重桜さんが働いているというビルの前まで、無事に到着した。
酒井さんは、素早く車外へ降りて、私たちの隣のドアを開けてくれる。
涼君と私は、お礼を言いながら降りた。
「いよいよだね……」
私の声は、緊張のために震えていたかもしれない。
「メールの文面から察すると、礼儀正しく真面目な人そうだから、きっと心配いらないよ」
優しく言ってくれる涼君。
酒井さんに案内してもらい、私たちはエントランスへと足を踏み入れた。
私たちの乗ったエレベーターが十一階に到着する。
酒井さんが身振りを交えつつ、「お先にどうぞ」と言ってくれた。
私と涼君が降りたのを見届けてから、自らも降りる酒井さん。
「会長は、あちらの応接室にてお待ちです」
酒井さんが指し示す方向を見ると、大きくて分厚そうなドアが見えた。
上のプレートに「応接室」と書かれている。
ドア前まで案内してくれた酒井さんが、三度ノックをする。
「酒井です。花ヶ池様と清涼院様をお連れいたしました」
酒井さんがそう言うと、中から「入りなさい」という低い声がした。
「失礼いたします」
酒井さんはそう言ってから部屋に入ると、ドアを開けたまま、「さぁどうぞ」と私たちを促してくれたので、私たちも続いて入室した。