さくら駆ける夏
第7章 決意
おじいちゃんのお手伝い
翌朝―――。
今日は、いよいよおじいちゃんの退院日だ。
一晩寝ると、昨日のモヤモヤがウソのように元気になっていた。
そして、同時に一つの決意も自然と生まれていた。
今晩の花火大会で告白しよう。
たとえふられたとしても、今のモヤモヤ状態を続けるよりずっとマシに思えた。
ふられる可能性は高いと思うけど……でもやっぱり気持ちは知っていてほしい……!
密かな決意を胸に、私は涼君と一緒にひとまず病院へと出発した。
予定より早めに病院に着くことができた私たちは、おじいちゃんの病室にさっそく向かう。
すでにおじいちゃんは、ある程度の手続きや、友達への挨拶などは済ませてあったそうなので、一階受付にて最後の手続きをし、病室から残りの荷物を運び出すだけでよかった。
手続きもスムーズに済んで、ものの一時間ほどで私たち三人は自宅へと到着することが出来た。
「久々の我が家は格別じゃな」
感慨深げにおじいちゃんが言う。
そんなに長期の入院じゃなかったはずだけど、そういうものなのかな。
私は清涼院さんちに居候中とはいえ、しょっちゅう帰ってきてるから、感慨はほとんどないけど。
「今夜は花火大会じゃぞ。覚えてるな?」
「もちろん、忘れてないよ」
「俺も連れてってくださるんですよね。よろしくお願いします」
涼君が、礼儀正しく言う。
「もちろんじゃ。夕方六時には家を出よう。しかし、今はまだお昼前じゃし、それまでたっぷり時間があるな。六時まで別行動でもいいか?わしはこれから、友達や知り合いに、退院の報告だの、お見舞金のお返しだの、色々せにゃならんことがあってな。見ての通り、もうこんなに元気じゃし、お昼ご飯はすでに売店で買っておいたし、わしのことは気にせず、デートに出かけてくれい!」
「わ、わかった。でも……デートとか……ま、また何言ってるの?」
おじいちゃんには困ったもんだ。
人の気も知らないで……。
「そういうことならお言葉に甘えまして。さくらちゃん、行こっか」
涼君は「デート」のところを否定しないみたい。
昨日の女子のことが気になるので、安心も喜びもあまり大きくはないけど。
そういうことで、涼君と私は自宅をいったん後にした。
「さて、どうしよう? どこか行きたいところ、ある?」
涼君が聞いてきた。
昨日の出来事が生々しく脳裏に浮かんでしまうので、ボウリングは却下だ。
涼君がその友達たちと行ったかもしれないという、水族館とカラオケも「う~ん」って感じだし。
どうしよう……。
「それじゃ、海に行かない? ちょっと遠いけど、今から出発すれば、余裕で六時までには帰ってこられるから」
悩んでいる私を見て、涼君が提案してくれた。
「そうだね、そうしよっか」
他に案もない私には、反対する理由もない。
私たちは水着など必要な荷物を取ってくるために、また清涼院家へと戻ることにした。
今日は、いよいよおじいちゃんの退院日だ。
一晩寝ると、昨日のモヤモヤがウソのように元気になっていた。
そして、同時に一つの決意も自然と生まれていた。
今晩の花火大会で告白しよう。
たとえふられたとしても、今のモヤモヤ状態を続けるよりずっとマシに思えた。
ふられる可能性は高いと思うけど……でもやっぱり気持ちは知っていてほしい……!
密かな決意を胸に、私は涼君と一緒にひとまず病院へと出発した。
予定より早めに病院に着くことができた私たちは、おじいちゃんの病室にさっそく向かう。
すでにおじいちゃんは、ある程度の手続きや、友達への挨拶などは済ませてあったそうなので、一階受付にて最後の手続きをし、病室から残りの荷物を運び出すだけでよかった。
手続きもスムーズに済んで、ものの一時間ほどで私たち三人は自宅へと到着することが出来た。
「久々の我が家は格別じゃな」
感慨深げにおじいちゃんが言う。
そんなに長期の入院じゃなかったはずだけど、そういうものなのかな。
私は清涼院さんちに居候中とはいえ、しょっちゅう帰ってきてるから、感慨はほとんどないけど。
「今夜は花火大会じゃぞ。覚えてるな?」
「もちろん、忘れてないよ」
「俺も連れてってくださるんですよね。よろしくお願いします」
涼君が、礼儀正しく言う。
「もちろんじゃ。夕方六時には家を出よう。しかし、今はまだお昼前じゃし、それまでたっぷり時間があるな。六時まで別行動でもいいか?わしはこれから、友達や知り合いに、退院の報告だの、お見舞金のお返しだの、色々せにゃならんことがあってな。見ての通り、もうこんなに元気じゃし、お昼ご飯はすでに売店で買っておいたし、わしのことは気にせず、デートに出かけてくれい!」
「わ、わかった。でも……デートとか……ま、また何言ってるの?」
おじいちゃんには困ったもんだ。
人の気も知らないで……。
「そういうことならお言葉に甘えまして。さくらちゃん、行こっか」
涼君は「デート」のところを否定しないみたい。
昨日の女子のことが気になるので、安心も喜びもあまり大きくはないけど。
そういうことで、涼君と私は自宅をいったん後にした。
「さて、どうしよう? どこか行きたいところ、ある?」
涼君が聞いてきた。
昨日の出来事が生々しく脳裏に浮かんでしまうので、ボウリングは却下だ。
涼君がその友達たちと行ったかもしれないという、水族館とカラオケも「う~ん」って感じだし。
どうしよう……。
「それじゃ、海に行かない? ちょっと遠いけど、今から出発すれば、余裕で六時までには帰ってこられるから」
悩んでいる私を見て、涼君が提案してくれた。
「そうだね、そうしよっか」
他に案もない私には、反対する理由もない。
私たちは水着など必要な荷物を取ってくるために、また清涼院家へと戻ることにした。