肉食系男子に、挟まれて~アザーストーリー~【完結】
この野郎、狼だったのか
「……」
「……」
私は今、春斗と二人で何故かエレベーターに乗っている。
春斗は出かけようとしてたんじゃないのか。
何で一緒に乗ってるんだろうか。
「あのー」
「……何」
お、怒ってる。
怒ってらっしゃる。
「…い、いえ」
「……」
なるべく、端っこに避けながら私は4階に到着するのを待った。
2、3……。
「なあ。何でそんな端っこなわけ」
ぎろっと私を睨むと、低い声でそう尋ねて来る。
あからさまに距離を空けてる私に、訝しげだ。
「……いや」
言葉を濁すと、更に彼の眉間が狭まる。
……だって、怒ってるんだもん。
怒ってるじゃーん!!
「……はあ。あれだ、別に怒ってねえって」
だけど、まだ眉間に皺は寄ったまま。
「……葛藤してんの、今」
「は」
エレベーターの扉が開き、とりあえず私と春斗は降りる。
それから、春斗にきゅっと手を握られて部屋へと向かった。