肉食系男子に、挟まれて~アザーストーリー~【完結】
航生
暫く、私と久住君は無言で抱き合っていた。
彼のモノなのか、私のモノなのか。
ただ、心臓の鼓動がドクドクと聞こえた。
「……カッコわる…俺」
「どうして」
「だって、好きな人の前で泣いてたし。
それに先生の事、力任せに引っ張った」
そう言うと、久住君は私の手首をそっと撫でた。
くっと眉間を狭めると、声を漏らす。
「痛かったですよね」
「ううん。平気。少し驚いたけど」
「……すみません。幸せにするって言っておきながら、説得力ないですよね」
「そうだねえ」
「……」
「なんてね」
ふふって笑うと、私は久住君の髪の毛に指を差し込んだ。
柔らかい感触が心地いい。