肉食系男子に、挟まれて~アザーストーリー~【完結】
それから何度も練習をして、終わった時には外が大分暗くなっていた。
「はあ、楽しかったねえ」
「そうですね」
「本当に安西ちゃん、練習頑張ったんだね。
凄いよくなってた」
「えへへ」
辻先生にまでそう言われると、照れてしまう。
楽譜を持つと音楽室から、皆でぞろぞろと出て行く。
その時、くいっと腕を引かれた。
何?と思って振り向くと、その犯人は春斗だった。
「少しいい?」
「え」
私が辻先生の顔を見ると、「職員室で待ってる」と辻先生が言うからそれに頷いた。
音楽室に残った私と春斗。
他の先生の足音もしなくて、シンっとしている。
向かい合う様に立つ春斗は、頭をがしがしっと掻くと口を開いた。
「……ごめん」
その言葉に、私は首を捻る。
何に対しての謝罪だろうか。