肉食系男子に、挟まれて~アザーストーリー~【完結】

それから何度も練習をして、終わった時には外が大分暗くなっていた。


「はあ、楽しかったねえ」

「そうですね」

「本当に安西ちゃん、練習頑張ったんだね。
凄いよくなってた」

「えへへ」


辻先生にまでそう言われると、照れてしまう。


楽譜を持つと音楽室から、皆でぞろぞろと出て行く。


その時、くいっと腕を引かれた。
何?と思って振り向くと、その犯人は春斗だった。



「少しいい?」

「え」


私が辻先生の顔を見ると、「職員室で待ってる」と辻先生が言うからそれに頷いた。


音楽室に残った私と春斗。
他の先生の足音もしなくて、シンっとしている。



向かい合う様に立つ春斗は、頭をがしがしっと掻くと口を開いた。


「……ごめん」


その言葉に、私は首を捻る。
何に対しての謝罪だろうか。
< 201 / 312 >

この作品をシェア

pagetop