肉食系男子に、挟まれて~アザーストーリー~【完結】
諦めるって事
私は音楽室を後にすると、職員室に向かった。
中には辻先生のみ。
どうやら他の先生は帰ったみたいだ。
辻先生は私に気付くと、口を尖らせる。
「おっそい!山本先生が来て、すぐに来るかと思ったら…全然来ないし。
どうしたの!」
「……すみません…、っ…」
「え!?」
辻先生の顔を見たら、抑え込んでいた気持ちが溢れて来て。
涙が私の頬を伝って行く。
何度も何度も。
そんな私を見て、辻先生は慌てて私の前へ来るとどうしたらいいのかわからないようだった。
「おお、どうしたの!?ちょっと、山本先生に何か言われたの?
安西ちゃーん!どうしたのよーー」
「…いや、ちが……うんです」
「もうーー泣くなーー」
辻先生は私を抱き締めると、安心させる様に背中を叩く。
そんな優しさが嬉しくて、思わずふふって笑みが零れた。
「ああっ、泣くのか笑うかどっちかにして!」
「すみません、……ふふ」
「こらっ」
肩を持つと、辻先生はコツンと私の額にゲンコツを当てる。
それに私は吹き出した。
と、同時に辻先生も笑い出す。