肉食系男子に、挟まれて~アザーストーリー~【完結】
「どうせ、ごちゃごちゃ悩んでるんでしょ。
絶対連絡来たら喜ぶから。かけない後悔より、かけて後悔しなさい」
「それも…そうですね」
辻先生に背中を押されて、やっとかける決心ついた。
元気になったら謝ればいいんだ。
家に帰ったら連絡しよう。
うん、そうと決まれば練習だ、練習。
それから、私は教師バンドの練習をする為に辻先生と音楽室へと向かった。
そこには春斗がいて、ばちっと目が合う。
「待ってましたよー。それじゃあ、やりますか」
「はーい」
あの日から、春斗とはこうやって普通に会話をするだけだった。
強引に迫って来る事はない。
部屋にも行ってない。
近場でバッタリ会っても、少し会話して終わり。
本当に、今までが嘘のように何もなくなった。
二人きりの時は砕けた口調になるけど、それだけ。
連絡先を交換したのに、一度も連絡した事はない。それは逆も。
まあ、隣同士なんだから何かあれば直接行けばいいんだけどね。
それを、少しでも“寂しい”って思う私がおかしいんだよ。