肉食系男子に、挟まれて~アザーストーリー~【完結】
「春斗も行こうよ」
春斗の横に並ぶと、そう言って笑顔を向けた。
「……」
「ほら、早く。始まっちゃうから」
そうやって笑いながら、春斗の腕を引っ張った瞬間。
私は壁に押しやられて、腰に手が回る。
拍子に手にしていたクレープが床に落ちた。
その手をぐいっと自分に引き寄せると、至近距離で春斗が私を見つめる。
「は、ると」
「ムカつく」
「え?」
無表情でそう言う春斗。
何がムカつくのか、私には全くわからない。
「そんな顔して、何かあったのバレバレ。
俺には友達でいようだなんて言うし」
「……」
「残酷だよ、本当に。諦める猶予すらくれねえの?」
「……」
くいっと下がった眉。
絞り出すような、その声に胸がズキズキと痛む。