肉食系男子に、挟まれて~アザーストーリー~【完結】
「好きになるのはこんなに簡単なのに、諦めるってそんな簡単に行かねえの」
「……」
「まだ、真央梨を好きなんだよ」
「は…る、っ」
そう言って、春斗は私の首元に顔を埋めた。
どうにか離そうと体を押すが、びくともしない。
「やっ、やめ、痛っ」
チクっと痛む首筋。
春斗は首元から顔を離すと、私を見て口角を上げる。
「やっぱり悔しいから。最後の悪あがき」
「……え」
「んじゃ、俺行くわ」
「ちょ、ちょっと待って」
私を解放すると、さっさと扉へと向かう春斗に慌てて声をかけた。
春斗は首だけ振り返ると、んべっと舌を出す。
それから、さっき痛みが走った箇所を指差して。
「キ・ス・マ・ア・ク」
一字一句、しっかり口を動かして発した。
「は!?」
それを聞いた瞬間、私は手をその箇所へと当てて隠す。
キスマーク!?
キスマークって!?
テンパる私に春斗はケラケラと笑うと、扉を開けて廊下へと出て行った。
さ、さ、最低だ!!