肉食系男子に、挟まれて~アザーストーリー~【完結】
私はすぐに廊下へと出るけど、既に春斗はいない。
逃げ足速過ぎだろ!!
手でその部分を覆いながら、急いで一番近くのトイレへと入る。
鏡に向かい、そっと手を離して確認するとそこにはしっかりとキスマークがついていた。
……いや、もう。
ファンデなんて持って来てないよ。
口紅ならあるんだけど。
辻先生持ってるかな。
とにかく、少しでも目立たない様に。
私は束ねていた髪の毛を下ろすと、髪の毛をなるべく前へと持って行く。
微かにだけど隠れている。
……いや、これ本当に微かにでしょ。
ダメだ。
すぐにバレる。
こんなんで生徒の前出られない。
泣きそうになりながら、私は携帯で辻先生を呼び出した。
『はいはーい、安西ちゃん。どうした?』
「……今どこですか」
『職員室』
「……ファンデとかありませんか」
『どうした。泣いたか』
「いや、泣いてません。ちょっと」
『何。今どこ』
「……生徒指導室近くのトイレです」
『何でそんなとこにいるの』
「詳しくは後ほど」
『わかった、今行くね』
「お願いします」