肉食系男子に、挟まれて~アザーストーリー~【完結】
通話を終えると、私は再度鏡を見た。
自分も教師で、キスマークがあったらどうなるかぐらいわかるはずなのに。
辻先生にファンデなかったらどうするつもりだったんだ。
暫くして、「安西ちゃ~ん」と声が聞こえて心底安心した。
「辻先生」
「…どした、その顔、髪」
「………」
私は無言で髪の毛をまとめて、問題の部分を見せた。
それを見て、目を見張る辻先生。
「……あのワンコ、盛ったか!」
「違います!」
「え?ワンコじゃないの?」
即否定すると、辻先生の眉間に皺が寄る。
そりゃそうだ。
辻先生は久住君と一緒にいたと思ってたんだから。
「……山本先生です」
「………成程」
私は束ねた手を下ろすと、手櫛で少しだけ髪の毛を整える。