肉食系男子に、挟まれて~アザーストーリー~【完結】
「安西ちゃん、大変だねえ」
「ええ、結構」
「山本先生も懲りないね」
「……本当です」
「先生はなんて?」
「悔しいからって」
そう口を尖らながら言うと、辻先生は目をぱちくりとさせてから突然笑い出した。
「あっはっは!何、それ!子供かっ!」
「笑い事じゃないですから!」
「ごめんごめん。さて、塗るかな。そろそろワンコバンドでしょ」
「そのワンコバンドって止めて下さい」
「いいじゃないの~」
クスクス笑いながら辻先生はファンデをその部分に塗ってくれた。
それから鏡を見ると、その部分は綺麗に隠れていてホッとする。
「ありがとうございました」
「いいえ。さて、行こうかね」
「……はい」
「その後、教師バンドだよ。ったく、やりたくない」
「はは、結構サマになってますよ。トライアングル」
「嬉しくない」
辻先生はファンデのケースをポケットに突っ込むと、歩き出した。
それに私も並ぶ。