肉食系男子に、挟まれて~アザーストーリー~【完結】
「……行った?」
「みたいですね」
ホッとして胸を撫で下ろすと、私は久住君の方を向く。
その、久住君の顔が想像以上に近くてドキっと心臓が大きく跳ねた。
「……」
「……」
近付く、久住君の顔。
唇が触れそうな距離まで来て、私はスッと手を入れてそれを阻止する。
久住君の唇がちゅっと触れた先は私の手の平。
それに彼は目をぱちくりとさせる。
「お・あ・ず・け!です」
「……はーい」
ぶうっと不満気に口を尖らせた久住君。
「んじゃ、体育館戻ろうかな」
そう言って顔を逸らした瞬間。
ちゅっと、彼の唇が私の頬へと触れた。
驚いて久住君を見ると、彼は悪戯っ子の様な笑みで舌を出す。
「これぐらい許して下さいよ、先生」
そう言って、久住君は立ち上がる。