肉食系男子に、挟まれて~アザーストーリー~【完結】


「……飲みっぷり半端じゃないっすね」

「え?安西ちゃんと私、いつもこんなよ」

「……そりゃ酔っ払いますわな」



春斗は更に顔を引き攣らせながら、辻先生に相槌を打った。



「んで。どう?諦めつきそうかね?」


むぐっと口籠る春斗に、辻先生はスカした顔で顎を手につけて再度尋ねる。


「安西ちゃん狙いってのは良かったよね」

「……」

「目の付けどころ、いいよ。中々。
今まで彼氏いなかった事が信じられないし」

「……俺も思います」

「ま、ワンコ強かったよね」

「ワンコ?」


真央梨との間ではそれで通じていたが、春斗はそれが誰かを知らない。
首を傾げる春斗に、辻先生はしまったって顔をしたが時既に遅し。



「まさか、久住ですか?」

「……そう、久住君」

「……」

「だって、あれワンコでしょ。ワンコ。
尻尾と耳、絶対生えてるからね?今度見てみ…」

「あっはははははは」


弁解する様に早口で捲し立てる辻先生の言葉を遮ったのは、春斗の笑い声。
あまりにも突然で、思わずぎょっとして春斗を見る辻先生。

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