肉食系男子に、挟まれて~アザーストーリー~【完結】
初っ端だったんだよね、そういえば。
笑顔。笑顔で行くぞ。
手に持った教科書達をぐっと握り締めると、階段を降りる。
降りた先にいたのは、たった今考えていた久住君だった。
トイレからの帰りなのか、一人で教室に向かっているところらしい。
「あ」
久住君は私を見ると、バツが悪そうにそう声を漏らす。
私は出来るだけニッコリと笑って
「久住君、おはよ」
そう明るく言った。
「え、あ、おはようございます」
戸惑った顔を見せながらも、返事をする。
その久住君の隣に並んだ。
「久住君のクラスだから、行こうか」
「……はい」
ふわふわの髪の毛は今日も健在。
やっぱり、何度見ても小動物なんだよなあ。
年上だからそう感じるだけか。
久住君は可愛いって形容詞がよく当てはまる。