肉食系男子に、挟まれて~アザーストーリー~【完結】
「先生」
「ん」
「……俺。昨日の事、謝りませんから」
「え?」
久住君は顔を私に向けて、しっかりと視線を合わせる。
真剣な表情に思わず息を呑んだ。
「悪い事したと、思ってないですから」
「……」
「……でも、普通に話してくれて嬉しかったです。
絶対に避けられると思ってたから」
「……久住君」
彼のふわふわの髪の気が揺れる。
久住君は眉間を狭めると、酷く辛そうな顔を見せた。
「また、勉強教えて貰ってもいいですか」
不安そうな顔で、そう尋ねる久住君。
私はふっと微笑むと即答した。
「もちろんだよ」
「……よかったです」
微かに微笑んだ久住君の顔は、少しだけ大人っぽく感じた。
そんな彼、今まで見た事がない。