浮気彼氏【完】
☆3
昨日はお母さんと高岡さんの結婚の話で考える暇なんてなかったけど・・・学校へ来れば必然的に現実を目の当たりにする事になる。
黎二は今日も女の子に囲まれている。
誰にでも優しくて学校で1番カッコイイ黎二は、ウチの学校の王子様的存在。
学校ではあまり話さない私達は、他の人からカップルと認識されていない。
別に隠してるわけじゃないけど・・・なんて言うか・・・黎二と私は釣り合いが取れていないから、私が一方的に好きで、黎二に付き合ってもらってるって思われているみたい。
・・・まぁ、あながち間違いでは無いような気がする。
確かに、告白して来たのは黎二だけど、アレから半年もたっている。
黎二の心がいまだに私にあるのかなんて、誰も知らない。
「ねぇ、黎二ぃ。今日さぁ、ウチに来ない?この間観たいって言ってたDVD、昨日借りたんだぁ。一緒に見よ?」
今日も黎二の1番近くで腕を組む池田さんが、上目使いで黎二にそう言った。
黎二が池田さんの家に?
イヤ!
お願い、黎二。
行かないで。
・・・でも、ヤッパリ現実は厳しいね・・・。
「わっ、ホント?観たい観たい!・・・あ、でもオレ今日はバイトあるからダメだな。」
「え〜、じゃあさ、バイト終わってからおいでよ。一緒にご飯食べてから観よ?ウチ、今親居ないからいつでも良いよ。」
「え?ご両親どうしたの?」
「ん〜?北海道で結婚式があるから今日から居ないんだぁ。だからね、淋しいんだぁ。何なら泊まって行ってもいいよ〜。」
「そっか。淋しいよな。うん、良いよ。じゃあさ、バイト終わったら美希ん家行くよ。そしたら、淋しくないよな?」
「ありがと〜。美希、嬉し〜よ〜。黎二優しいからスキ〜!!」
「はいはい。オレも美希好きだよ?」
池田さんが黎二に抱きついた瞬間、私の心は大きな音を立てて壊れた。