浮気彼氏【完】
オレは、愛の手をギュッと握った。
「あのね、愛。オレはもうね、愛に許して貰えるなんて思ってないんだよ。だからね、オレのことなんか許さなくて良いんだ。けどさ、愛のお母さんや高岡さん、西尾や、これから産まれてくる愛の妹か弟は、何にも悪く無いのに心を痛めてるよ。優しい愛は、そんなのイヤだろ?だからさ、そろそろ目を覚ましても良いんじゃないかな?」
オレは、右手だけ離して、愛の髪を撫でる。
「もし、オレが気に入らないなら、そう言ってくれたら、2度と愛の前には現れないから。だからさ、そろそろ、目を覚まそう。・・・覚まして欲しい。・・・ごめん。偉そうな事言ったけど、ホントは・・・オレ、愛に会いたい。愛、どんな愛でも、どんなに時間が過ぎても・・・オレ、愛の事が好きだよ。これはもう、『愛』だよ。オレ、愛を愛してる。」
オレは、それだけ言うと、静かに立ち上がり、愛に背を向けた。
もう、行かなくちゃ。
部屋を出るとき、ちょうど、玲子さんとすれ違った。
「愛との話は終わったの?」
「はい。告白したけど、今日もフられました。」
「あはは!仕方ないね。明日もがんばんな。」
「はい。じゃあ、行って来ます。」
そう言って、オレは部屋を出た。