浮気彼氏【完】
ある日、その声の人は言ったんだ。
『オレはもうね、愛に許して貰えるなんて思ってないんだよ。』
『もし、オレが気に入らないなら、そう言ってくれたら2度と愛の前には現れないから。』
『そろそろ、目を覚まそう。・・・覚まして欲しい。』
『オレ、愛を愛している。』
今まで、『ありがとう』『ゴメンね』『好きだよ』って言われて来た。
どれもみんな、胸が切なくて仕方なかった。
だけど、今回は違う。
今目覚めなければ、私はこの声の人を永遠に失ってしまうんじゃないかと・・・怖くなった。
優しい声を失って、この暗くて寒い場所で一人ぼっちになるんじゃないかなぁ・・・と思った。
いつもの優しい声じゃ無くて、ただただ切なくて、哀しみに満ちた声だった。
この人に、こんな声を出させちゃダメだと思った。
だから私は、この暗い世界から抜け出したくて、・・・。
もがいてもがいて・・・。
気がつくと、真っ白で暖かなベッドの上に・・・居た。