王様の告白
「私も女性の扱いは、正直得意ではありません。
 ですから、なんとも申し上げにくいのですが。
 最近、世間では『壁ドン』という告白の仕方が流行ってるそうですよ?」

「……壁ドン?」

 どうやら、社長は聞いたことが無いらしい。

 形の良い眉を思い切り怪訝そうに寄せる彼に、俺は知っている限りの話をしてみた。

「もともとは、少女マンガの中にあった告白の仕方のようです。
 告白したい彼女を壁際に追い詰めて、顔の近くにドン、と手をついて『オレの女になってくれ』とかなんとか。
 愛しい想いのたけをぶつけてみたり、甘い言葉をささやいてみたりするんです」

「……宗次はプライベートですごくモテるだろう?
 こんなことを良く、やるのか?」

 本当にお相手は、本命らしい。

 真剣に聞いて来る社長に、俺は、まさか、と笑って見せた。

「声をかけて下さる方は多いですが、私は女性が苦手です。
 それに、仕事が好きなので、パートナーを探す必要は無いですから」

「ふーん」
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