王様の告白
 それから、俺は時々。

 社長の妙な行動を目にすることになった。

 彼は、じっと、壁を睨みつけたかと思うと、突然、どん、と手をついて。

 ついでに、深々とため息もついている。

 もしかして……どうやら。

 彼は素直に俺の提案を聞き、まじめに『壁ドン』の練習に励んでいるらしい。

 う……うーん。

 俺、なんかマズイコト言ったかなぁ。

 社長、普段はすごく格好良いのに『壁ドン』練習中は、なにやら情けない……ぞ。

 この『壁ドン』のために、本命に逃げられたとしたら、やっぱり俺の責任だろうか?

「あ、あの社長?」

 あまりの格好悪さに、ある日。

 恐る恐る声をかけてみたら、うつむいていた彼は、バッと顔を上げ、俺と目が会った途端、顔を真っ赤にした。

 うわ、気まずっ!
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