思い出の場所で②
「亜弥、泣かないで。
誤解させて悪かった。ちゃんと説明するから」
そう言って、私の涙を拭って抱きしめてくれる。

久しぶりに感じる彼の温もり。
ずっと、こうしていたい…

そのまま、悠紀は話し出した。

「あの店、志村の親がオーナーなんだよ。
大抵、ゼミやサークルの集まりはあそこだった。
で、多分分かってると思うけど、志村は俺のこと好きみたいで…。
俺には、ちゃんと彼女がいること知ってるはずなのにアプローチしてきて…、それが最近は激しくて。
ちゃんと告白してきたら断れるんだけど、ああやって外から攻めてきて…
多分、阿部辺りから聞いてるんだろうけど、俺が亜弥と約束した日に飲み会設定して、無理矢理に参加させて…。
親がオーナーだから、俺が参加すれば無料にするって言って。だから、みんなから参加を強制されて…断れなくて。
ホントにごめん。
次からはどんなに強制されても行かないし、志村にもちゃんと断るよ。

俺が好きなのは、側にいたいのは、亜弥だけだから…」



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