【壁ドン企画】争奪戦の末に~少し頼りない彼の場合~
「やっと来てくれた・・・っ」
手放しで上げた喜びの声は、耳のすぐ横に置かれる手の音で途切れる。
顔を上げるといつも神様のように見える、良子の彼、高志さんの顔がキスできそうな距離にある。
これ以上後ろにいけない壁に体を押し付けて、1mmでも距離を取る。
そんな努力すらも高志さんの左手が許さなかった。
「ちょっと我慢してね」
するりと腰に回された手でがっちり身体をホールドされ、人の彼氏の腕の中納まる。
思わず両手で高志さんの胸を渾身の力を込めて押す。
憧れのシチュエーションだけど、嫌いな相手ではないけれど、相手が違う!
力ではどうにもならない近すぎる距離に、あわあわと赤面するしかない。
「そこのお二人さん。そのまま続けるなら、愛しの楓ちゃんを横取りしてみるけどいい?」
私たち3人より一つしか年齢は変わらないはずだけれど、その1年が余裕を生むのだろうか。怒られるより怖い笑顔と、爆弾発言を投下し、衝撃の状況に顎が外れそうなほど大きく啓太の口が開く。
「高志!!私の身長で楓にできないことしてる!!」
私と高志さんを引き離すべく先に動いたのは良子だった。
そこで、私でなく、自分の彼氏に嫉妬するするのが最大の謎だ。
確かに小柄な良子にこの状況は作れないと思うが、彼女が私を相手にこの状況を作りたいと思うことが理解できない。
私と高志さんの間に割り込んで、高志さんに抱きつくならまだしも、私に抱きついてくるところがさらに謎だ。
「おい、代われ、柏木!そこは俺の場所だ!」
腰に両手を回した良子を引き剥がして、今度は啓太の腕の中に納まる。
引き剥がされた良子が高志さんに捕獲されているのを啓太の肩越しに確認して、ほっと胸をなでおろす。
こうなったら後は穏やかに過ごせる。
後ろから抱きこまれている良子はこちらに向かおうと高志さんの腕から逃れるべくじたばたしているが、大柄と言って差し支えない高志さんの腕は簡単に動かない。
「ごめん、楓」
そっと落とされた啓太の声は静かで先ほどの激しいやり取りの荒っぽさは感じられない。
背中に回された腕の温かさに安心して目を閉じる。
「じゃあ、今日はこれで解散ってことで」
「私の楓を泣かせるんじゃないわよ!」
男前過ぎる良子の声が遠ざかるのを聞きながら、啓太の胸に頬を寄せる。
良子には悪いが、甘い時間を邪魔されたのはお互い様だ。
「とりあえず、場所変えよう楓」
身体に回された腕を解いて、手を繋いで家に向かう。
「ねぇ、なんで二人ってああなの」
手放しで上げた喜びの声は、耳のすぐ横に置かれる手の音で途切れる。
顔を上げるといつも神様のように見える、良子の彼、高志さんの顔がキスできそうな距離にある。
これ以上後ろにいけない壁に体を押し付けて、1mmでも距離を取る。
そんな努力すらも高志さんの左手が許さなかった。
「ちょっと我慢してね」
するりと腰に回された手でがっちり身体をホールドされ、人の彼氏の腕の中納まる。
思わず両手で高志さんの胸を渾身の力を込めて押す。
憧れのシチュエーションだけど、嫌いな相手ではないけれど、相手が違う!
力ではどうにもならない近すぎる距離に、あわあわと赤面するしかない。
「そこのお二人さん。そのまま続けるなら、愛しの楓ちゃんを横取りしてみるけどいい?」
私たち3人より一つしか年齢は変わらないはずだけれど、その1年が余裕を生むのだろうか。怒られるより怖い笑顔と、爆弾発言を投下し、衝撃の状況に顎が外れそうなほど大きく啓太の口が開く。
「高志!!私の身長で楓にできないことしてる!!」
私と高志さんを引き離すべく先に動いたのは良子だった。
そこで、私でなく、自分の彼氏に嫉妬するするのが最大の謎だ。
確かに小柄な良子にこの状況は作れないと思うが、彼女が私を相手にこの状況を作りたいと思うことが理解できない。
私と高志さんの間に割り込んで、高志さんに抱きつくならまだしも、私に抱きついてくるところがさらに謎だ。
「おい、代われ、柏木!そこは俺の場所だ!」
腰に両手を回した良子を引き剥がして、今度は啓太の腕の中に納まる。
引き剥がされた良子が高志さんに捕獲されているのを啓太の肩越しに確認して、ほっと胸をなでおろす。
こうなったら後は穏やかに過ごせる。
後ろから抱きこまれている良子はこちらに向かおうと高志さんの腕から逃れるべくじたばたしているが、大柄と言って差し支えない高志さんの腕は簡単に動かない。
「ごめん、楓」
そっと落とされた啓太の声は静かで先ほどの激しいやり取りの荒っぽさは感じられない。
背中に回された腕の温かさに安心して目を閉じる。
「じゃあ、今日はこれで解散ってことで」
「私の楓を泣かせるんじゃないわよ!」
男前過ぎる良子の声が遠ざかるのを聞きながら、啓太の胸に頬を寄せる。
良子には悪いが、甘い時間を邪魔されたのはお互い様だ。
「とりあえず、場所変えよう楓」
身体に回された腕を解いて、手を繋いで家に向かう。
「ねぇ、なんで二人ってああなの」