【壁ドン企画】 わがままな彼の甘い罠
「だから、書類スマッシュしてるの?」
「スマッシュしてるのは、おでこ出した髪型してる時だけだけどね。なんだっけ。ポンパ……なんとか?
おでこ可愛いからあんまり他のヤツに見られたくない。
ずっと聞きたかったんだけど、なんで会社におでこ出してくるの?」
「え。なんでって……ダメだとか決まりないし」
「ダメだよ」
「ダメって、そんなの、だって……」
「〝だって〟禁止」
「さっき言ってたじゃん!」
「俺はいいんだよ」
「何、その勝手な基準……」
おでことか……おでことか。
呆気にとられて混乱している私を見上げた彼は、すっと立ち上がると、今まで座っていた椅子に今度は私を座らせる。
戸惑いながら見上げると、腰をかがめた彼が、私の顔の両脇に手をゆっくりとつくところだった。
形勢逆転。
今度は、彼の影が私を包む。
さっき、私だって同じ事をしていたハズなのに。
される側になっただけでこんなにドキドキしてしまう。
距離は同じハズなのに………絶対的に違うのは、彼のテリトリーに閉じ込められたという意識だろうか。
可愛い顔した彼が男に変わる瞬間の、ギャップにだろうか。