愛とか恋とか嫁だとか。
航平が、咲子と″咲子のママ″を求めているのなら、それでいいのかもしれない。




職業上の責任感から発せられたと分かっていても、ふと浮かぶ斉野君の声。


「かわいい」


斉野君がイケメンだからなのか、


あたしがそういう言葉に飢えているからなのか。


分からないけれど、くすぐったい。


そして、この家の中、咲子のいる前で斉野君の事を思い出すのは酷く罪深い行為のように感じられた。



だけど、とんでもないことに気がついて。


あたしと斉野君は、友達になった。


……なったけど。


連絡先なんて、一切知らない。


当分髪の毛を切る予定もない。
< 153 / 206 >

この作品をシェア

pagetop