愛とか恋とか嫁だとか。
「やっぱり凄いよ、いずみは」


あたしの何を凄いと言っているのかやっぱり分からないけど、

何故か、急に篠塚君の顔が浮かんで。


いやいやいやいや、今アンタ出てこなくていいから!!


思わず首を振る。



「なんか、いい顔してんじゃん」


「元々美人ですけど?」


あたしのくだらない返しに、しっかり笑ってくれる航平。



そして、あっという間に駅に着いてしまって。


「そんじゃ、またな」


「うん、またね!」


きっと、航平も、あたしとの未来を思い描いたことがあって。


そして、今、きちんと前に進んでいて。


そんな航平の背中が、頼もしく見えて。




寂しいような、嬉しいような。


不思議な気持ちで、日南子の元へと帰っていく背中を見つめる。
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