愛とか恋とか嫁だとか。
「偉いじゃん、咲ちゃん見ててあげるなんて」


「俺普段何もしてないからさー、せめて。でも、ダメな、あれ」


あたし達は、横並びで、色々Tシャツを広げながら話す。



「何がよ?」


「普段構ってないから、咲子のやつ、″初めまして″くらいの勢いだもんな」



横並びだから、お互いの顔が見えない。



「んなわけないでしょーよ、大好きなパパでしょー」


「ま、俺の魅力に気づくなんて100年早いけどな」



そして、見えない方が、あたしはいい。



「ハードル高いわー、それ」


「娘たりとも容赦はしねーよ?」


二人で声を立てて笑う。


懐かしい感覚。
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