愛とか恋とか嫁だとか。
ご機嫌な咲子を抱く高野さんに見送られ、足早に目的地へ向かう。


目的……


そう。


今日のあたしは、今までと少し違うんだから。










「いらっしゃいませ~」


ドアを開けると同時に声を掛けられる。


「あ……えーと……」


久し振り過ぎて、声が上擦ってるのが自分でも分かる。


「ご予約の、青山様ですか?」


受付カウンターから、びっくりするくらい可愛らしい子に微笑まれて、どぎまぎするあたし。


こくこく、と頷く。


あたし、何やってるんだろ。


美容室ごときにこんなに緊張するなんて。


昔はマメに来てたのにな。


< 95 / 206 >

この作品をシェア

pagetop