カラダ探し~最終夜~

「わかったよ。美術室からここまでは調べたからさ、向こうを調べてよ」


そうは思っても見つけたのは私だから、何とか頑張らないと。


東側を指差して遥にそう伝えた私は、音楽室を出た。


この部屋の前にある階段を使うよりは、できるだけ三階を移動してから二階に行った方が安全だよね。


この廊下の一番南側。


通ってきたルートを戻ろうと決めて、私は走りだした。


暗くて静かな廊下。


私の足音と、息遣いしか聞こえない。


走って走って、生産棟の一番南側に到着した私は、すぐに階段を下りた。


幸恵の左胸が、ただでさえ走るのが遅い私の邪魔になる。


二階に下りて、西棟に向かって。


渡り廊下の真ん中で……それは私の目に飛び込んできた。










『赤い……西棟二……現れまし……さん、気をつけて下さい』










「キャハハハハハッ!!」







よりによって、このタイミングで校内放送!?


それも私が向かっている西棟に。


廊下の奥の方、緑の光を浴びる「赤い人」が、笑い声を上げながら、こちらに向かって駆けだした。
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