カラダ探し~最終夜~
運が悪い事に、目の前には階段が迫っていて、手を出そうとした時には、すでに私の顔は段の角に直撃していて……。
息もできない、脳天を貫く痛みに、声を出す事もできなかった。
「赤い人」が飛びかかったのだという事はわかった。
でも、今の私には何もできない。
目の辺りから、顔が分断されてしまったんじゃないかと思うような激痛にのたうち、目玉が飛び出たんじゃないかと不安になる。
あまりの痛みと衝撃で、何も聞こえないし首から下は何も感じない。
手も動かせない、逃げる事もできない。
何とか目を開けようとしても、熱い部分から流れた血が目に入り込んで開けられない。
カラダを持っているのに……あと少しでホールなのに!
身体が動かなくて、脳がザクザクと刃物で刺されているかのような激痛に耐えながら、私はひたすら願っていた。
早く……早く歌を唄い終わって!
こんな痛みが続くくらいなら、早く殺して!
振り返る事もできない私は、それを待つしかなかった。