カラダ探し~最終夜~
向こう側なら、たぶん見つかる事はないだろうと思っていたけど……。
ザザッと、かすかな音がスピーカーが流れて……次の瞬間、私を恐怖させたのだ。
『赤い……西棟二階……現れま……』
それだけだと思っていたのに。
『赤い人……二階に現…た』
『……が、西棟二……ました』
『赤い人が……』
『赤い人が……』
『赤い』
『赤い』
『西棟二階』
『現れました』
『赤い』
『二階』
耳をふさぎたくなる程の大音量と、繰り返される単語。
「な、何なのよ、これ!!」
二階から、遥が叫び声を上げた。
西棟の二階に現れたのに……物音を立てたら「赤い人」に気づかれてしまうのに……。
予想もしなかった事態に、遥は耐えきれなかったのか、声を出してしまったようだ。
「キャハハハハハハッ!!」
声を出せばそうなって当然と言うか、笑い声が廊下に響く。
「ふ、ふざけないでよ!」
ドンッと、激しく教室のドアを開けたであろう音が聞こえて、遥が廊下に飛び出した。
もしかして……放送室にいる幸恵に見られたの?
こんな事は一度も起こった事がないからわからないけど、他に理由が思いつかない。
たぶん遥は、幸恵に見られて校内放送で「赤い人」を呼ばれてしまったんだ。
だとしたら……西棟はこの学校で一番危険な場所って事じゃない!