カラダ探し~最終夜~

かく言う私も涙をこらえきれずに、ハンカチはもうびしょ濡れ。


校長先生や来賓の祝辞が長くて若干テンションが下がるけれど、在校生の送辞や、卒業生の答辞でまた涙する。


歌も、音楽も、私の感情を揺さぶって、涙なしにはこの空間にはいられない。





思えば……いろいろあったな。





その中でも思い出すのは、やっぱりいなくなった皆の事。


留美子がいたら……遥がいたら。


同じように泣いていたのかな。


美雪と翔太はどうなったかな。


悲しい時に、さらに悲しくなるような事を考えてしまうのはなぜだろう。


私と同じように、皆の事を覚えている小川君も、そんな事を考えているのかな。


あの日から、一度もその話をした事はない。


話してしまうと、皆が消えてしまった事を認めてしまいそうだったから。


確かにいなくなった。


だけど私はこう思う。











遥が言っていた、世界は人の想いの中に生まれる。










私や小川君が忘れていないなら、きっとその想いの世界の中で皆は生きているんだと。


もしかすると、今の私も、誰かの想いで生かされているのかもしれないから。
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