居場所
「ごめんね…恵玲奈さんにまで心配かけてるみたいで」
心が痛い…
どれだけあたしは心配かけてんだろ。
「気にすんな」
「山ちゃんって優しいんだね」
「優しいんだね…って俺お前に怒ったことねーじゃん」
「ほら…前に1回あったよ。私が紙に…」
そこまで言ったあたしは思わず口を紡ぎ、視線を下にさげる。
言うんじゃなかった。つい、口が滑って…
「あれはお前が悪いんだろ…紙に埋まるぐらい疲れた疲れたとか書いて、怒るのは当然の事。つか、もうそんな事やってねーだろな?」
「やってない」
あれは確か中3の時。
家に帰るとボールペンを持ちA4サイズの真っ白の紙に埋まるぐらい書いてた。普段怒らない山ちゃんは、その時だけ凄く怒った。
あんな山ちゃん見たの初めてだった。自分でも何してんだろ…とか思って、それからは何もしていない。